2020年5月8日金曜日

ウイルスによってもたらされる3つの感染症

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」が日本赤十字社より紹介されています。
http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200330_006139.html
https://youtu.be/4mEocQzH3wg
このガイドは、職員=医療スタッフだけではなく、それ以外の方々にも是非とも御覧頂きたい内容です。

第2の感染症「心理的感染症」、第3の感染症「社会的感染症」は、マスコミやSNSなども大きく関与しているように感じます。
思えば、2月から3月は、不安をあおるような報道が多かったように思います。それを自称専門科の医師や自称専門ジャーナリストが、もっともらしい内容でお話しをされる。さらにそれを多くの人達がSNSで騒ぎ立てる。不安が不安をさそい、それをまたマスコミが色をつけて報道する..。悪循環でした。
4月に入ってからは、不満に関する報道が多かったように思います。これは非常事態宣言による経済的な不安も、不満をこぼす事への引き金になりました。不満を抑える事、抑えきれずに望ましくないとされる行動にでる事、それらに対する自称専門家達の意見や行動が報道される。これにもSNSで多くの人達が騒ぎ立てます。そして不満が不満を増長させ、政治不信と人間関係を悪くしていくように思えます。
第1の感染症(生物学的感染症)が、感染予防と対処療法という古典的で基本的な方法以外にはなかなか手段がなく苦戦しています。統計学的な事と、分子生物学的な事、遺伝子学的な事が様々明らかになる一方、決定的な治療方法が見つけられないのは残念ながら現在の医学の限界かもしれません。映画のように、突然画期的なワクチンができるのは私は難しいと思っています。抗ウイルス薬も世界中で既存のものを試していますが、データをみる限りでは劇的な効果があるようには思えません...。臨床的にも、自然軽快する時期に投薬されたために効いた感じがしている症例も多々あるようにも思います。結局ウイルス量や抗体価の詳細を細かく診ることはできないので、症状の変化でしか判断ができないのです。さらに現在様々な薬が試されています。中にはあの糖尿病の薬まで!(糖尿にもよい、心臓にもよい、コロナウイルスにも良いとなると万能薬ですね!)逆に、効きそうですがお金にならない薬はなかなか治験に乗ってこないのは...残念に思っています。
二次感染、三次感染を拡げないためにどうするか。まずは、我々が不安や不満をこぼさない事と、しっかりとした知識に支えられた誠実な医療(これはコロナ以外も含めた医療)を医療関係者全員で提供する事しか今はできないのかと思っています。
世間では「出口」が話題ですが、我々にとってはまだまだ「出口」が見えないコロナ問題です。

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