先日、ある有名病院(?)で2回failureであったCTO症例が、御本人が当院での治療をご希望されて受診されました。
紹介状などなく、情報も殆ど無かったので、まず診断カテを行ってから、いつもの5FrJR使用でそのままPCIをいたしました。
CTO含むインターベンションは、よーくシネを見てオリエンテーションをつける事が大切だと自分では思っています。病変部・閉塞部位を読んで、その通りにGWを動かすことができれば成功率は上がると思っています。私は「wire様の言うとおり」で良かったことはあまりありません。コントロールをしっかりしないと偶然いけることがあるだけで、その確立は低いと思っています。
とくにfailure症例のre-tryは、このシネの読みが大きく左右すると思っています。外国含むawayでのre-try症例は、過去の治療で何をされたか、なぜ上手くいかなかったかを聞いても良くわからないことが多いので(英語が不得意だからかな?)、結局その場のシネの読みが全てになります。
今回の画像からは、false lumenが2つ観察できました。wire様はそこに行きたがりますが、....ダメです!ダメです!許しません!造影では見えませんが、感触と方向が良さそうな入り口にtouchできたので、GWをそーっとクリクリ入れます。慎重に進めていって、末梢に抜けたかと思ったのですが…よーくみると皮一枚ちがう?。さらに末梢までGWも進みますし、ほどほどに自由に動くのですが、しかし、おそらくここは過去に作られたfalse lumen。撮影方向を変えてみると、ギリギリ皮一枚trueでは無さそうです。ワイヤーの感触も微妙に違います。思い切って大きく抜き直し、閉塞部の中で軌道修正。良さそうなチャンネルを探したところ、プチチュルンと薄皮を抜ける瞬間があって、後はtrue lumenでした。よかった、よかった!運良く10分ほどでワイヤーが通過しました!balloonもすんなり通り、ステントを挿入して終了しました。
患者さまには「以前、あんなに大変で、しかも2回も上手く行かなかったのに、....今回はあっさりと終わったけど…何か秘密兵器でも使ったんですか?」と聞かれました。「普通の市販されているワイヤーで、普通にやったんですよ。...まぁ、ラッキーだったんですね、私は!」と答えました。
もちろん合併症もなく、翌日喜んで退院していただきました。良かった、良かった!
CTOはいつも薄皮一枚の差でsuccessかfailureかが決まるのでしょう。この紙一重の差が難しいのですが、しかしウルトラテクニックや秘密兵器で闘うということよりも、普通の事を普通にできる用にする方が大切なのではないかと自分では思っています。
もちろん、本当に運もあります。その幸運を味方につけるのは地味な基礎的な力を身につけることだけだと思っています。
CTOは100%の成功率は無理です。私も負ける事もあります。しかし、いつもperfectを目指して地味に努力する日々です。頑張ります!
(画像など、患者さまの個人情報が特定できないように修正しております。ご了承下さい。)
2 件のコメント:
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ここは違うか?
今日も穴掘りのCaseがあります!
心得を説いておきましょう!
「いいね!」ありがとうございます。
「負ける日もある」が、私の心得です。(笑)
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