2008年12月31日水曜日

大晦日

今年も今日でお終いです。

今年を振り返ってみて、自分なりに沢山の出来事がありました。
私のお仕事での10大ニュース?をあげてみます。
順番は適当です。

(1)Slender Club Japan
1月4日の青森でのミーティングに始まり、東京でのビデオライブ、兵庫医大での各社のバルーン実験、札幌ライブでのAWARD、沖縄での250名以上の集客のミーティングと、5回もイベントがありました。
企画をやってくださった先生はもちろん、それを支えてくれた方々が沢山いらして初めて成り立つ企画です。皆様ありがとうございます。
我々の悲願である、低侵襲な治療を提供することが正しい道だという事が世間で認められてきたという事でもあり、非常に嬉しく思います。
SCJの最高の成果としては、slender GWによるCTOへの治療戦略だと思います。これは、舛谷先生が御考案されたのですが、最初はみな「えー?まさかぁ?!」でした。それがいつの間にか「本当だ!」「えっ?まだ試してないの?」に代わり、最近のライブではSlender Club memberだけではなく、ほぼ全ての先生方が最初のワイヤーはeelかXtreamを使用するように成ってきました。素晴らしい事です。この件で、SCJが只の細いものフェチクラブでは無いことが世間に認知されて来たのだと思います(個人的には細いものフェチクラブで良いんですけど...というと、また世間から会長の認識がないと怒られる!)。
舛谷先生、松陰先生、早く論文完成させてください(と、他人事のように)。


(2)5Fr de Percuの論文
仲間達のご協力のもと、"5Fr de Percu"が論文になりました。
Yoshimachi F, Ikari Y, Matsukage T, Masutani M, Mori Y, Saito S, Okumura K.A novel method of PercuSurge distal protection in a five French guiding catheter without an Export aspiration catheter.J Invasive Cardiol. 2008 Apr;20(4):168-72.
論文なんて縁がない人生だと思っていた私にとって、じつは非常に嬉しい出来事でありました。やはり、何と言っても私の必殺技の一つです。それをTRA-NETの先生方含めてみんなで育ててくださった技です。それが伊苅先生のお力添えで論文という形になったのですから、本当に幸せです。

(3)若い先生達の教育
どの施設でも、若い先生達の教育を充実させなければいけないという意識が高まりました。
唯一のオペレーターがたった一人でやっている時代は終わりです。やはり、誰もがある一定の手技を提供するという時代です。DESの使用の影響もあり、術者の力量が特殊手技や特異な症例以外では結果として大きな差が出ない時代になってきました。しかし、余りに適当な治療を見ることも時々あり、適応すら問われるような治療を患者に提供している医師がいるのも事実です。
そんな背景で、若い先生方に正当な治療ができるように教育していくことが必要とされているのは当然かもしれません。
教育をする為には、自分の考えを整理してわかりやすく説明する必要があります。これは自分のトレーニングに非常に良いことだと思っています。その場だけを繕うやり方には、若い先生方は非常に敏感に反応し、嘘つきのレッテルを貼られるようにも思います。メッキはすぐに剥がれます。それ故、日々の自分を鍛えて正しいことを正しくやっていく必要性を益々感じます。患者の為だけでなく、若い先生の為、自分の為と日々の治療の目的も広がってきます。
 貪欲に色々なものを吸収しようと積極的に動く先生方が全国から集まってきている研究会もありました。
しかし、若さゆえに、ちょっといい顔をするとつけあがります。自分はとてもできる人間だと勘違いすることもあります。私たち自身の若い頃はもっと馬鹿でずるく、先輩方にご迷惑をおかけしてきたので、今の若い連中が医療や医学をなめてかかる瞬間がよく解るのです。若いうちにで天狗になることは間違った道にそれることに成りかねませんので、伸びてきた鼻を時々折ってあげるのも先輩の仕事です。これは大きな合併症につながる前に抑えておくというリスク管理の意味もあります。PCIは実はリスクと紙一重の世界でやっていることを常に認識しながら治療を進めなければいけません。何かあったときには、患者生命をおびやかし、同時に自分の意志生命も脅かすのです。言いたくない事も沢山ありますが、自他施設に関係なく若い先生には厳しく接することがある今日この頃です。お許し下さい。
研究やプレゼンテーションも、執筆活動もいっしょです。いっぱいの失敗が次の仕事を無くします。この辺の認識をしっかり持たせるように、若い先生方に指導すると供に、自分の態度も引き締めなければいけないと実感する一年でした。
 頑張っている若い先生の写真。

(4)先輩方からの指導
まだまだ若いつもりの私ですが、すでに若手とは言われなくなったのは寂しいことです。ちょっと悔しいです。
こんな私にも多くの先輩がいます。まだまだ多くの指導を受けます。
指導を受けている写真です。
頭の下げ方が悪いとさらに指導!(笑)
伸びてきた鼻をへし折られる瞬間も多々ありました。後輩には偉そうなことを言っても、歴史は繰り返しているだけで、先輩から見ると私も若くないけど小僧なんですね!痛感する場面も多々あります。
日本中の"インターベンション魔神"と称される、スーパードクター達の手技とお言葉は自分の未熟さを感じると供に、さらに前に進みたいと思う気持ちを奮い立たせられます。時には反省させられる面もありますし、時にはこの先生方にどのように解っていただこうかと考えさせられる面もあります。
インターベンションの世界以外でも、先輩の先生方よりの指導を受けます。医師として、人生の先輩として、ずっしりと重い言葉をいただき、悩む事もあります。
しかし、先輩方に指導してもらえる自分は幸せだなぁと良く思います。相手にされない人間にならないように、日々精進いたします。

(5)コメディカル
コメディカルの皆様の活躍が目立った一年でした。各学会でも、ライブでもコメディカル部門が充実してきております。コメディカルの工夫や発送のおもしろさにメディカル部門のありきたりの発表よりも惹かれてしまうのは私だけではないように思います。
日々の診療にても、今までお役所仕事しかしていなかった日本中の公立病院の看護師の皆様もそれだけではいけないという事をご理解されてきたようです。当科の竹谷の「公立病院でもTRバンド弛め」が九州の方々にも広がったことはとても嬉しいことでした。また、エコーでペリフェラルCTOも、当院の田嶋の活躍で少しずつ世間に浸透してきたように思います。これもまた嬉しいことです。
 鎌倉ライブでの当院コメディカルとの写真です。
いままで、公立病院のスタッフなんかとバカにしてきた私立の皆様も、そろそろうかうかしていられない状況ですよ!

(6)部長職
この4月から肩書きが循環器科部長になりました。管理職ですので給料は減りました(笑)。
肩書きとか、偉い人たちが好きではなかった私です。むしろそのような人たちに反発してきたのですが(この辺が子供ですよね!)、実際に役がつくと、これはまた大変な仕事だと解りました。会議や書類などという今まで無縁のもの(単にサボっていただけ?)が重くのしかかり、自分だけではなく科の責任を考えなければいけない事がよく解りました。
まだまだ、循環器センター長・副院長の藤野先生のご指導のもと、管理運営会議で発言権のない一番下っ端部長として重圧の元頑張りたいと思っています。

(7)プレゼンテーション
今年は大小あわせて丁度60個のプレゼンテーションをしました。いやいや、自分でもよく話したと思います。学会で数個の発表というのはもちろんですが、研究会をハシゴするような場面もあり、ちょっと忙しかったです。いつも似たようなことばかり話をしているのですが....それでも、少しずつ進歩はしているのでお許し下さい。
その中でも青森で市民公開講座をさせていただいた事は我々にとってとても大きな一歩であったように思います。
大変な数の皆様にいらしていただきました!
医療関係者ではない方々にどのように解っていただくかとても難しかったです。今までのどんなプレゼンテーションより難しかったように思いました、少しでも皆様のお役に立てないかと頑張りました。
私だけではなく、医師・看護師・技師スタッフも随分あちこちでお話をさせていただいております。皆様に感謝いたします。私の指導が悪くてなかなか世間をどっかーんと笑わせるものに成らずに申し訳ございません。

(8)執筆活動
依頼原稿の数も増えました。日本語も英語もまだまだ苦手ですが、一生懸命書いております。
現在、某看護雑誌の連載ものに四苦八苦しております。正月返上で辛いです。

(9)New Device
New Deviceというほどのものかと言われると、ステントとかそんな大層なものではないのですが、今年も幾つかのデバイスの制作に携わることができました。
私たちが大きく関わっているものは、某社のスレンダーガイドワイヤーや3Fr Ultra long sheathなどです。もちろん、ある程度自分たちが関わった後には、使用する多くの先生方のご意見やメーカーさんとしてのマーケッティングが必要で、形は変貌していきます。それはそれで結構です。ちなみに、どんなにものが売れても私には一銭も入りませんので誤解の無いように!
 「これからもSlender Systemを応援します」と書いております。応援していないで主体性を持って作って欲しいですね!(笑)
しかしながら、今年発表された一番のNew DeviceはDioではないでしょうか?湖東記念病院の武田 輝規 先生たちが制作をされまして、やっとこの冬から少量ずつ手にはいるように成りました。まだ改良の余地はあるのだとおもいますが、これは画期的なデバイスだと思います。

(10)旅
おかげさまで日本中、世界中旅をさせていただきました。
日伯友好100周年記念でブラジルへいったり、TCT 2008では名誉なFacultyとして参加させていただいたり、中国、韓国、シンガポールと海外遠征をさせていただきました。皆様のおかげです。本当にありがとうございます。感謝です。まだまだ、自分の力ではないところが情けないのですが、皆様のお力添えのもと、良い想い出ばかりができました。
日本国内も沢山の場所に行かせていただきました。東北、北海道、関東、関西、九州のなじみの先生方やコメディカルの皆様の親睦も楽しい時間として過ごさせていただいておりますし、勉強になることばかりで有意義に過ごさせていただいております。また、広島や京都、佐賀などあまり行ったことのない場所にも行かせていただきまして、多くの先生方との交流も深めることができました。皆様ありがとうございました。

思えば、一年間幸せなことが多かったように思います。充実した一年でした。
まだまだ自分の力でというよりは、他力本願な所が多い私です。これが一番の反省点でしょうか。
来年もいっそう頑張りたいと思いますので、宜しくお願い申し上げます。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

明けましておめでとうございます。一年の総括を拝読し、大変感銘を受けました。

今年もご指導を頂ければ幸いです。私も頑張りたいと思います。

PTCA5Fr さんのコメント...

電車男@伊勢原さま
本年も宜しくお願い申し上げます。
すみません、ウダウダと書きつづっただけなので何を言いたいのか解りにくいですよね。
人に感謝の心を忘れず、しかし自立してしっかりとやっていけるように...を目的に、本年は精進します。
自分に甘く後輩に厳しく...ではなく、自分にも後輩にも厳しくですね!
こちらこそ、ご指導お願いします。
...ミニコンの論文もクビを長くしてお待ちしております!(笑)

匿名 さんのコメント...

論文 が、がんばります!
すみません 筆無精な私です・・・

PTCA5Fr さんのコメント...

もとまる@甲子園さま
人に催促するくせに、私自身も筆無精で....すみません。